観光とまちづくり

地域再生のまちづくりをしていると必ず出てくる2つの事があって、それについて考えてみたいと思います。


1つ目は住民か観光客か?
2つ目は個別店舗支援は最優先なのか?


今回は1つ目。
住民か観光客かっていう不毛な議論。


多分10年以上前に議論に終止符が打たれていると思うのだけれど、未だそれを一生懸命考える地域があったり、行政職員がいるのは非常に困ったなぁとそのことを聞くたびに思います。
(そんな人らがいるのは、ぼくらまちづくりを商売としている人間の怠慢だろうけど)


歴史的に地域経済の多くの部分を広域な交流人口に支えられて発展してきたまちは別として、今から観光とか言っているまちで、地域再生を観光客のためにするなんてのはナンセンスだという簡単な事に気づかないのは、机上の議論ばかりしてるからか。


そもそも今の観光って自分が旅行に行くときのことを振り返れば気づくと思うのだけれど、知らない土地で観光客用メニュー、観光客コース、観光客用お土産に満足するかっていうと全くしない。前世紀的な観光では良かったのかもしれないけれど、今は団体旅行じゃなくて、個人やグループ旅行の時代なのだから、観光で求められるものは高度化、複雑化している。


でも本質はシンプルで、やっぱり地元の人が美味しいと思って通っているお店で地元の人が食べているメニューを食べたいし、地元の人がいいよっていう場所を見てみたいし、地元の人が日常生活で使っているもの、食べているものをお土産として買って帰りたいと思うのです。


その地元の人がいいね!と思うものを、訪れる人に丁寧に伝える努力は必要だと思うけれど、それは手法であって目的ではない。その地域を訪れた人が、その魅力要素にアクセスしやすい状況をつくることはすればよいけれど、わざわざ観光客用に何かをつくることとは違います。


お土産屋は求められれば民間として作れば良いけれど、まちづくりとして税金を使ってつくるものではない。


本来最初にせねばならぬことは、地域の人が日常生活の中で愛してやまないものを、訪れた人が知りたいと思うように、買いたいと思うように、できるだけそのまま伝えることです。


だから、地域の魅力を掘り下げて行く必要があるのと、地域で愛されるものを作らないと、結局観光にならない。地域の捉えかたは単なる周辺住民じゃないと思うので、その辺りはその地域の歴史的な背景によると思います。


まちのプライドを掛けた挑戦。
住民か観光客かっていう不毛な議論に終止符を。