テナントミックスという手法

テナントミックスという手法は、
中心市街地活性化においてひとつの手段です。


商業施設での集客効果を最大化するために、
業種業態の最適化を行うこと。店舗のMD


必要業種・不足業種の充足などとも言われますが、
地方の疲弊した小さなまちの商業集積にとっては
もっと大きな、もっと大切な意味があると考えています。


ある商業集積がすでに魅力を失い、消費の中心は郊外へ移動しているとき、
テナントミックス事業はまちに大きなインパクトを与えることができます。


これまでも、丹波の柏原や滋賀県の虎姫、三重県の伊賀などで
テナントミックス事業を支援してきました。


それぞれのまちでその狙いは少しずつ違いますが、
テナントミックスによって、これまでそのまちに来ていなかった層を
集客することが肝心です。


地方の商店街などでこれまで良く行われてきたチャレンジショップのように、
空き店舗に、とにかく店を入れるという方法は失敗に終わります。

失敗した事業を見た商店主はより一層やる気を無くし、
まちに余計なダメージを与えてしまうことになります。


そのため小さなまちでのテナントミックスでは、
事業自体が新しい需要を喚起するものでなければ意味がありません。
今ある需要では消費者というパイを奪い合うし、
そもそも事業として成立しえないからです。


現在の人通りや、商店街等がターゲットとしている今の商圏などを調査しても
答えが出てこない事業になります。


しかし、コンセプトをもって集客力のあるテナントを入れることで、
今まで来ていなかった客層がまちに必ず来てくれます。


そのことは、やる気を失った商店主へのアンチテーゼとなり、
やる気をつくりだすきっかけとなります。
まちの諦めムードを打開する糸口になります。


逆に、テナントミックスでの集客を目の当たりにして
商売をやめる商店主も出てきます。
そのことで新陳代謝が進みます。


新しい需要を喚起できることを内外にアピールすることは、
新しい起業家へのメッセージとなり、連続した事業展開を可能にします。


このようにテナントミックスは、小さなまちの活性化において
まちの求心力を回復する一助につながる可能性があると考えています。


ジェイコブスが指摘するように、商店主は単なる商業者としての顔だけではなく、
まちを見つめ、まちを守る存在、役割があります。


質の良い商店主が持続して商売ができる、商売がしたい環境をつくっていくことは、
まちづくりにおいてとても大切なことだと思います。


それとテナントミックスをする上でも内発的発展が大切になります。
地域での資本コントロール、地域の人、地域の資源と情報。