内発的発展

宮本憲一先生から学んだことで、大切にしていることのひとつが
内発的発展という言葉です。


調べてみると、もともとはスウェーデンのダグ・ハマーショルド財団が、
国連経済特別総会(1975年)に関する報告書『なにをなすべきか』
(原文『What Now』カッコイイ!)において、
「もう一つの発展 Another Development」という概念を打ち出したとありました。


「もう一つの発展」とは、
「もし発展が、個人として、また社会的存在として、解放と自己展開をめざす人間の発展であるとするならば、このような発展は事実上、それぞれの社会の内部から発現するものでなければならない。」とあり、

同財団による1977年の『もう一つの発展一いくつかのアプローチと戦略』
(原文『Another Development: Approaches and Strategies』)では、
経済成長優先型の発展に代わって以下の5つのポイントを示しています。

①地域のニーズに根ざしている(Need-oriented)
②内発的である(Endogenous)
③自立的である(Self-reliant)
④エコロジカルであること(Ecologically sounded)
⑤経済社会構造の変化が必要であること(Based structural transformation)


また、社会学者である鶴見和子さんは、ダグ・ハマーショルド財団と同時期に
柳田国男さんなどの民俗学の見地から内発的発展について論じています。

内発的発展は人類共通の目標
・多様な目標達成への経路と目標を実現する社会モデル
・衣食住医療、人間としての可能性を発現できる条件づくり
・目標達成により国際的な格差を是正する
・地域の自然生態系に適合する
文化遺産(伝統)に基づいて、外来の知識技術制度を適合する
・社会と人々の暮らしの流儀を自律的に創出する
・多様な発展が生まれ、相互に対等に手本とできる


宮本先生は1980年に書いた『都市経済論』の中で、
「外来的発展」と対比して「内発的発展」と使っています。


発展途上国が、先進国の技術や資本を導入することによって
発展することを「外来的発展」としています。


大都市と地方都市でも同じことが起こっているように思えます。


これまで日本の地方都市が進めてきた経済政策はほとんどが
外来的発展で、企業誘致、特に工場誘致。


企業が進出するインセンティブとしてたくさんの補助金
使っています。


もちろん、大きな雇用も税収も生みますが、
工場は撤退してしまうこともあるし、外資に依存する体質には
問題があります。



最近アメリカではエコノミックガーデニングという手法があるそうで、
地域の中小企業を育てる政策です。


中小企業を育てるには、ガーデニングのように、日々の手入れや観察が
必要とのことから、ガーデニングとしています。


日本の地方都市も、工場誘致以外の政策を自前で考える時が来ています。



ちょっと視点はずれるかもしれませんが、
大阪の堀江にある立花通りは10年前からちょこちょこ良いお店が
出店して、賑わいがよみがえってきています。


今は亡き日限さんのミュゼを筆頭に。

でも今は東京資本のお店が多くて、なんとなくツマラナイ。

これも外資だからでしょうか?
多様性に欠けるのです。


大阪も、大阪らしく、内発的発展をめざさねば。


ちなみに、最近ケイオスの澤田さんがプロデュースした
淀屋橋odonaの飲食店はすべて関西の店舗です。


すばらしや、関西の食文化。