『あなたには夢がある』

ビル・ストリックランド+ヴァンス・ローズ著/駒崎弘樹


NPO法人を立ち上げて病児保育サービスを東京23区で行っている
フローレンスの駒崎さんが訳した本です。
ブログを拝見しているだけですが、いつか出会えたら嬉しい人の一人です。


アメリカ・ピッツバーグの黒人貧困地域で著者が行ってきた数々の偉業が
分かりやすく書かれています。

副題は「小さなアトリエから始まったスラム街の奇跡」。


著者が高校生の時に自分の居場所を見つけた陶芸。
大学生となった彼は、貧困と犯罪が日常化した地域で
生きることの価値を見失った若者のために陶芸教室を開きます。


陶芸教室から職業訓練学校の再生、新しいセンターの建設、蘭の花の栽培、
ジャズコンサートに独自ジャズレーベル。

夢を見失った貧困地域の人が大きな夢を抱いて社会に戻り、
蘭は品評会で賞を、ジャズレーベルから出たアルバムはグラミー賞を受賞する。


センターはたくさんの大企業経営者から支援を受け、様々な職業訓練プログラムをつくり、
人生に失望して、尊厳さえ無くした人の能力を開花させ、多くの優秀な卒業生を輩出する。


そして全米、世界に同じような仕組みをつくっていく。


著者はなぜこのような不可能と思われることを可能にしたのかという質問に対して
それは偶然でも、野心でもなく「情熱と信念」だといいます。



自分が本当に大切だと思うこと、心を動かすもの、精神を目覚めさせるもの、
喜びと満足感をもたらすものの価値を信じた結果であると。



僕自身は都市計画を自分の仕事として生きていこうと決心していますが、
たまにどうして良いか、本当にこの道で良いのかと思うこともあります。
(周りからはそう見えないようですが・・・・)


でも、日本にたくさんある小さなまち一つ一つが輝きを失わないために
どうしたらよいか考えて、実行して、まちを変えることに情熱を傾けて
いきたいとより強く思うことができた本でした。