シンガポールという都市 その1

政策投資銀行の藻谷さんの誘いで、シンガポールツアーに行きました。団地再生や再開発など見所満載ですよということで、新開地の古田さん、戎橋の山本さん、ライティングデザイナーの長町さんを誘ってツアー決行。古田さんと僕は同じエアとホテルで、2人はばらばらの滞在だったので、藻谷さん力作の「行動計画書」を主軸にしてのシンガポールスペシャルツアー。

シンガポールは一言で言えば、都市で暮らし、遊ぶためにとても考えられて設計されたまちだと感じました。土地所有は社会主義的で、国が80%以上を所有し、開発者は国から99年など長期定期借地の権利を買うことになります。物価は平均しておそらく日本の7割以下であるにもかかわらず、1人当りのGDPは2007年に日本を抜きました。都市交通がとても発達していて移動がしやすい。そして安い。タクシーの初乗りが約200円程度(3ドル)で、シンガポールのあらゆる名所にはラッシュアワーや夜の割増料金時間帯でも1500円程度(20ドル)で行けてしまいます。また、地下鉄とバスも発達していて、滞在中はEZリンクカードという地下鉄とバスの共通ICカードを1000円程度(15ドル)で買いましたが、3日間1度もチャージせずに乗り回すことができました。事実、都心からチャンギ空港まで100円程度とのこと。

モータリゼーションに対応するために、高速道路と幹線道路がしっかりと通っているので、クルマやバスで移動しやすく、歩行者には優しくないまちのようだけれど、団地や住宅地内に入ると、フットパスのようなものが通っていて生活者は、緑に囲まれたフットパスを歩いてタウンセンターや地下鉄、公共バスの乗り場に行くことができます。

驚くのは中心地や主要な地下鉄駅上に新しく開発された大きな商業施設などがあるにも関わらず、団地にあるタウンセンターには平日から人がたくさん。一般的なタウンセンターの構成は、日常生活に必要な商品がほとんど揃う1階部分の小売ゾーンと、2階にはフードコートがあります。シンガポールでは外食率が高いというのもあると思いますが、日本の寂れたニュータウンにあるタウンセンターとは対照的で、朝昼晩を通じて人が訪れコミュニケーションの中心になっているようでした。


もうひとつの驚きは、緑の多さ。中心部の道路の両脇にも大きな街路樹とともに、建物と道路の間に取られた大胆な緑地ゾーン、もちろん団地エリアにも緑がたくさん。丁度昭和40年代から50年代に造成された千里や泉北ニュータウンにある団地の雰囲気が今もしっかりと残っていて、建物と建物の間の緑地ゾーンが広い。



有名なマーライオンにつながるシンガポール川の両岸にも、大都市シンガポールの中心であるにも関わらず、贅沢なほどに広くとられた緑のバッファーゾーンがあります。川沿いは憩いの場所であるとともに、都心に近いところでは川に面してレストランやカフェが並び、夜は美しいライトアップがなされ、多くの人で賑わいます。


とりあえず雑感「その1」です。