儲けろ、まちづくり会社的発想。

最近まちづくり会社(以下「まち会社」)はもっと儲けないとねー的風潮になってきたのは良い事ではあるが、それは地域の実情にあわせて考えないといけない。


例えば丹波柏原の(株)まちづくり柏原では少し事情が違う。


誰も新たに事業を始めようとしていなかった地域で、かつ刻々と着実に衰退しつつある場所で投資が循環していくためには時間も資金も当然必要で、投資リスク軽減として補助金が有効だ。


制度上まち会社が補助金の受け皿になるわけだが、なにもまち会社がすべて事業をする必要はない。


まちづくり柏原ではイタリア料理オルモを直営しているが、他の事業はテナント施設の大家業だ。


柏原のような町ではまち会社が補助金で借り入れリスクを小さくし、テナントに入る商業者の投資とランニングコストを減らし経営支援しつつ、テナントの投資を短期回収してもらえる事業モデルになっている。


事業を考えている人にチャンスのある地域だと感じてもらい、新たな投資を呼び込みたいからだ。だからまち会社はギリギリの収支とキャッシュフローにしておいて約7年から10年で投資を回収する。これは大きな利益を出す必要のないまち会社だからできることだ。


現実問題として、柏原ではテナントの大家業だけで食ってはいけない。


こちらもギリギリの収支にしないと、そもそもテナントが家賃を払ってまで事業が成り立たない地域なのだ。


人口2,000人の柏原のまちなかでの平米単価は1000円程度、一方で20,000人の大津では2400円。倍以上の差だ。


事業の狙いだって大きく違って当たり前だし、投資の考え方も違う。


地域に入って実際に事業をすればすぐに理解できることだが一般論としてまち会社は儲けろ的発想で全国同一視するのは危ういし、短絡的で役所的だ。


まちづくり柏原に視察に来て、投資を少なくしてもっと儲けないとだめだよーみないな発言して帰っていった役人が制度設計していると思うと呆れる。


だから回遊性とか通行量とか現場の実態に合わないことを言うのだろう。


ツイッターで早稲田の木下君@shoutengai@hosokawashigeさんがつぶやいてたように、まさに補助金を使った投資がどう次の投資に結び付いていったかも含め、複数年の一定期間における市街地全体のバランスシートや、地域再生会計的な考え方で制度設計することが求められている。