商店街について

これまで10年間いろいろな商店街で仕事をしてきました。


日本の都市で商店街は衰退し続けています。


師匠であるコム計画研究所の高田昇先生から、学生の頃に聞いたことばが印象的でした。


「商店街は何百年もその役割を果たしてきた、
 戦後生まれのショッピングセンターに負けるわけが無い」と。


僕自身もそう思っています。商店街は負けない。
商店街を負けさせてはいけない。


あれだけ郊外に商業施設を作ってきたアメリカでさえ、
メインストリートプログラムやBIDといった手法をつかって
まちなかの商業集積を復活させる仕組みに力を入れています。


ジェイコブスが言うように、商店街は、商業集積としての役割だけではなく、
まちを見守り、コミュニティの中心となってきたのです。


今やっといろいろな人が訴えているように、
商店街はまちの歴史と文化をつくってきた立役者です。



しかしとても残念なことに、商店街が衰退している最大の原因は、
やる気の無い商店主にあります。


日本の都市計画が郊外規制をできなかったからでもなく、
日本が商業施策を誤ってきたからでもないのです。


車社会が到来したからでも、大型ショッピングセンターができたからでもないのです。


商売の本質を忘れてしまった商店主、商店街の役割を忘れてしまった商店主に
大きな責任があると思います。


モノを置けば儲かった時代から、これだけ世の中が動いてきたのに
何も変わらずに、ぬるま湯だと思っていたら熱湯になっていた。


やる気の無い商店主に何を言っても動きません。
商売が上手くいかない言い訳を永遠と聞かされる。
新しいことをしたいという人にいろいろな理由で反対する。


だから見せるしかないと考えるようになりました。


やる気の無い商店街の中にもやる気のある商店主は必ずいます。


その人たちの力を結集して、やる気の無い商店の横で、
たくさん人を集めることができるお店をつくってみせるのです。


お店をつくるだけではなくても、新しい仕組みやイベントで、
動きや変化が見えるようにする。


ものごとを実行に移すとき、みんなの合意形成が必要だと言うひとがいます。


でも本当に大切なのは合意形成ではなく、意思決定だと思うのです。
新しい動きをつくっていこうという意思決定。


商店街においては、その前向きな、積極的な意思決定を助けることが
自分の仕事だと思っています。