まちなみをつくる

JR大津駅にある駅前商店街(寺町通り)のまちなみ形成の仕事をしています。


まちなみ形成については、
丹波柏原城下町)、枚方枚方宿)、姫路(都市景観・城下町)、
米原(旧山東町柏原地区・宿場町)、大和郡山(城下町・紺屋町)、
高島市(今津)、大津市旧東海道)といくつか仕事で携わってきました。


国の制度としては、文化庁管轄の文化財保護法伝統的建造物群保存地区制度」か、
国土交通省の制度要綱である「街なみ環境整備事業」の活用が中心です。


2008年には「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」
所謂「歴史まちづくり法」が成立したのでその動きにも注目したいと思います。
省庁間、省内間(文化庁vs国交省や都市局vs住宅局)の覇権(予算)争いに巻き込まれないことを祈ります。



当然のことながら、現在のまちなみを形成しているのは個別の建物で、
それらは個別の所有者によって維持管理されています。


個別の所有者のまちなみ形成への参加がなければ、まちの雰囲気を
意図する方向へ変えていくことはできません。


寺町通りでは、大津百町に相応しいまちなみづくりをしていこう、
ということで商店街の建物ファサードを来年度整備します。


寺町通りには約60件の建物がありますが、半数程度はファサード整備を実施したい。


去年から個別の商店主を一軒、一軒回ってヒアリング。


今回は大津市中心市街地活性化基本計画に位置づけられ、
中小企業庁の「戦略的中心市街地中小商業等活性化支援事業費補助金
を活用するとはいえ、自己負担の伴うものなので、通常疲弊した商店街では
なかなか難しいのが現実です。


幸い大津市には駅前の活性化に活用できる基金があり、それも充当することで
商店主の負担をできるだけ軽減しています。


現況の立面図を作成し、ひとつひとつ修景プランを考える。


まちなみ調和を考える上で、大変なのは、ビルやプレハブ等伝統的な様式で建てられていない建物。


どのように調和させるのか、ここに最もセンスが表れてきます。


ビルや新しい建物なのに、とってつけたような瓦の庇をつけるっていうのはどうも苦手です。
やはり、現在の建物そのものの良さを生かしつつ、まちなみを調和させていくのが本筋だと思います。


もちろん、伝統的な様式の建物だって単に格子や木戸など木製建具、
白壁にすれば良いというのではありません。


大津には、大津にしかない様式がある。


木戸におけるガラスと木の割合、格子の付き方・幅、柱や漆喰の色、
大津のまちなかを歩き回って収集し作成した意匠集を、
しっかりと頭に叩き込んで、設計者と議論していきます。



大津のまちなかで見かける色々な町家の意匠は本当に丁寧で豊かな仕事を感じます。



寺町通りはどのように変わっていくのか、来年が楽しみです。