『都市の再生と農の力』

明峰哲夫著


グリーンベルトと農村地帯によって無秩序な
都市の膨張を抑制する。


イギリスのグレーター・ロンドン・プラン。


日本もそれを真似たはずであったのに、
都市に移住してきたたくさんの人を収容するために、
グリーンベルトは宅地に変わった。


国策として、公社や公団がその急先鋒であった。



本書に書いている本筋とは多少ずれるかもしれないが、
東京や大阪がどんどん拡張していった過程については、
住宅不足を補うために是であったという主張がもちろんあります。


だけれど、本当に正しい選択だったのか。
美しい都市を作れなかった代償は、現在、未来の日本人に
大きな負の外部性を与えていると思うのです。


時代も状況も違うけれど、1世紀前に書かれた
ハワードの田園都市だって、都市を拡張しろとは書いてない。
いくつもの自律した都市をつくることを提唱していたのに。


今日、伊賀市中心市街地活性化基本計画が本部からの認定を受けた。
市役所の担当者から携帯に連絡。
嬉しい!残すは丹波


伊賀市中心市街地である「上野」のまちは、美しい。
基本計画にも掲載しているけれど、グーグルアースで見ると
まさに周辺が緑地になっています。


上野城下町として、藤堂高虎が治めた。
今もその佇まいを残した美しいまちです。


一方で、大阪のまちも、東京も、どこがまちの切れ目なのか
まったく分からないまま、とめどなく宅地。


日本の都市計画は完敗だと思うのです。
果たして日本に都市計画はあったのか。


本書は、都市の中での農業の必要性を述べたものですが、
日々感じている、膨張し続けてきたまちの醜さについて
考えさせられました。